分類:エリア
概要
《支配の塔》は、
モラリア王都北部に建つ巨大な居住塔。
多くの旅人は《王都》や《外面神殿》で祝福を受け、
《誓約の間》を経て、自らの意思でこの塔へ入る。
旅人は皆、
「幸せな家庭を築くため」
そう信じて塔へ入る。
誰一人、
「これから支配されます。」
とは告げられない。
本来、この塔は家族が安心して暮らすための住居である。
互いを尊重し合う者同士なら、
どの階で暮らしていても穏やかな生活を送ることができる。
しかし、一方だけが我慢し続ける関係では、塔は少しずつ姿を変えていく。
違和感を飲み込み、
役割を抱え、
説明を繰り返し、
罪悪感を背負い、
気付けば旅人は、
自分でも理由が分からないまま塔の上層へ辿り着いている。
この塔に鎖や檻は存在しない。
それでも多くの旅人が離れられないのは、
「自分でここに居ることを選んでいる」と思い込まされるためである。
よく聞こえる声
「家族なんだから。」
「お前のためを思って。」
「誰のおかげで生活できてる。」
「お前が変われば済む話。」
「考えすぎ。」
「感謝が足りない。」
「被害者ぶるな。」
「そんなことも分からないの?」
「出ていくなら勝手にしろ。」
観察結果
《支配の塔》は、
旅人のHPよりもMP(判断力)を削る特殊ダンジョンである。
旅人は外では普通に仕事をし、友人と会い、王都で買い物もできる。
しかし帰宅すると、
《支配の塔 通行証》が自動認証され、最後に滞在していた階へ戻される。
塔の中で過ごした時間は少しずつ旅人の価値観を書き換え、
「私が悪い。」
「私が我慢すれば。」
という状態異常を自然なものとして定着させていく。
興味深いことに、塔の構造は決して複雑ではない。
複雑なのは迷路ではなく、
旅人自身の心である。
主な階層
1階《誓約の間》
旅人が最初に訪れる祝福の間。
神官による誓いの言葉や家庭の誓約が読み上げられ、
《呪いの指輪》が装備される。
本来は祝福の儀式であり、
この時点では塔はまだダンジョンではない。
しかし、支配者との共同生活が始まると、指輪は静かに呪物へ変質していく。
2階《役割の回廊》
「夫とは。」
「妻とは。」
「親とは。」
家庭内で求められる役割が壁一面に掲げられている。
役割そのものは必要である。
しかし、一方だけが役割を担い始めると、《自己否定》の種が芽吹き始める。
3階《我慢の間》
旅人は最初の違和感を覚える。
しかし、
「家族だから。」
「結婚したんだから。」
という声が響き、
《違和感センサー》の感度が低下する。
まだ引き返せる階。
4階《自己否定の回廊》
問題が起こるたび、
「私が悪かったのかもしれない。」
という声が反響する。
旅人は少しずつ、自分より相手を優先し始める。
5階《説明迷宮》
旅人は関係を修復しようと話し合いを試みる。
しかし、
が連続発動。
《説明疲労》を発症する旅人が最も多い階である。
6階《罪悪感の祭壇》
離れようとすると、
「子どもは?」
「家族は?」
「世間は?」
という祭司の声が響く。
ここで多くの旅人が足を止める。
7階《支配の間》
旅人は相手の機嫌を中心に生活するようになる。
今日何を食べるか。
何を話すか。
いつ帰るか。
その判断基準は、自分ではなく相手になる。
《境界コンパス》はほぼ機能停止。
最上階《モラ王の玉座》
塔の支配者《モラ王》が座する部屋。
しかし、旅人が最後に気付くのは、
最大の敵はモラ王ではなく、
「私が悪い」と信じ込んでしまった自分自身
だったという事実である。
特殊システム
キーアイテム《支配の塔 通行証》
旅人が塔へ入ると自動発行されるキーアイテム。
王都、外面神殿、共感の図書館など各地への転移に使用できる。
帰還時には、自動的に最後に滞在していた階へ転送される。
通行証は階層に応じて更新されるが、
ある方法を除いて破棄することはできない。
攻略メモ
《支配の塔》は攻略するダンジョンではない。
降りるダンジョンである。
旅人は
を手に、一段ずつ階段を降りていく。
そして最上階に設置された《転移床》へ辿り着く。
転移床を起動すると、最後の確認が表示される。
《支配の塔 通行証》を返却しますか?
「はい」を選択すると、
通行証は消滅し、旅人はモラリア世界から現実世界へ帰還する。
なお、この転移は一方通行である。
関連項目
- エリア《モラリア王都》
- 施設《外面神殿》
- 装備《呪いの指輪》
- アイテム《支配の塔 通行証》
- アイテム《違和感センサー》
- 装備《境界コンパス》
- 回復魔法《一笑解呪》
- アイテム《解呪の灯火》
- 重要地点《転移床》
- モラ王
地図メモ
《支配の塔》は王都北部に建つ巨大な居住塔である。
塔と王都は常に行き来できるため、
旅人は普段どおり仕事をし、買い物をし、生活を送ることができる。
しかし帰宅するたび、通行証によって元の階へ戻される。
旅人たちは後にこう語る。
塔を登ることは難しくなかった。
本当に難しかったのは、降りることだった。
そして、転移床で《支配の塔 通行証》を返却した者だけが知っている。
家庭とは、本来ダンジョンではなく、安心して帰れる場所だったのだと。
旅人が世界に託したひとしずくの力が、小瓶となりモラリアの地に届く。
量は問われない。小瓶はそっと物語の糧となり、時折、住人へ不思議な変化をもたらす。