No.049 再発防止未実装

概要

失敗による痛みや後悔は感じるものの、
「では次回、同じことを起こさないために何を変えるか」まで処理が進まない状態。

本人の中には、

「怒られた」
「嫌な空気になった」
「自分も傷ついた」
「もうこんな思いはしたくない」

という記憶が残る。

しかし、

「何をした結果そうなったのか」
「相手には何が起きていたのか」
「次から具体的に何を変えるのか」

という再発防止策が十分に保存されない。

そのため、時間が経つと同じような行動が再び発生する。

反省イベントはある。
精神ダメージも受ける。

だが、アップデートだけが入らない。

よく見られるセリフ

「もう反省してる」

「十分苦しんだ」

「過去のことをいつまで言うの?」

「今は前を向いている」

「もう同じことはしない」

「俺だって傷ついた」

「そんなつもりじゃなかった」

「なんでまた怒ってるの?」

観察結果

《再発防止未実装》では、失敗そのものを忘れているとは限らない。

むしろ、
「失敗してつらかった」
という記憶は比較的よく残る。

問題は、その記憶が
失敗 → 原因 → 対策
という形ではなく、

失敗 → つらかった → 反省した → 終了
で保存されることにある。

たとえば包丁で大きな怪我をしたとする。

「すごく痛かった」
「怖かった」
「もう忘れて前を向こう」

だけでは、次の事故は防げない。

本来必要なのは、

「どんな持ち方をしていたのか」
「何を見落としたのか」
「次回は何を変えるのか」

まで確認すること。

傷を癒やす工程と、
事故原因を取り除く工程は別である。

得意なこと

失敗した直後に深く落ち込む。

反省している気持ちを言語化する。

自分がどれほど苦しかったかを振り返る。

過去の出来事に新しい意味を与える。

「成長した」「前を向く」と区切りをつける。

つまり、感情の整理や物語化は比較的得意である。

なお、それ自体が悪いわけではない。

落ち込んだまま立ち止まり続けても生活は進まないため、気持ちを整理して前へ進むことも必要である。

問題は、その途中で事故原因まで一緒に片づけてしまうことである。

苦手なこと

失敗したときの自分の具体的な行動を残す。

相手側に何が起きたかを確認する。

「自分は傷ついた」と「自分が何をした」を分ける。

再発条件を特定する。

次回の行動を具体的に決める。

決めた対策を長期間維持する。

相手から再度指摘されたとき、
「また怒られた」ではなく

「以前と同じことを自分が繰り返した」
と認識する。

発動条件

失敗による不快感が強く、早くその出来事を終わらせたいとき。

謝罪や反省をしたことで、問題そのものも解決したように感じたとき。

時間経過によって感情的な痛みが薄れたとき。

自分の行動よりも、「怒られた」「責められた」という体験のほうが強く記憶に残ったとき。

周囲が疲れて指摘しなくなり、
「最近は何も言われない=改善した」
と誤認したときにも発動しやすい。

攻略メモ

反省したかどうかではなく、
次回の行動が変わったかを見る。

失敗したときは、

何をした?
相手には何が起きた?
なぜそうなった?
次回は何をやめる?
代わりに何をする?

まで記録する。

特に重要なのは、
「もう反省した」ことを終了条件にしないこと。

反省は再発防止策ではない。

また、周囲の人が毎回、

「前にも言ったよね」
「これはやらないで」
「次はこうして」

と説明し続ける運用になると、その人が外付けの再発防止装置になってしまう。

本人が自分で更新できない限り、周囲の負担は減らない。

反省会を開くなら、議事録まで保存すること。

関連項目

《自己修復不能》

《都合のいい記憶帳》

《修正拒否》

《特別枠フィルター》

《説明疲労》

地図メモ

《再発防止未実装》は、《自己修復不能》に近い場所で観測される。

ただし両者は少し異なる。

《自己修復不能》は、
指摘や結果を受けても、
自分の行動を修正すること自体がうまくいかない状態。

《再発防止未実装》は、
失敗を認識し、反省や後悔まで発生しているのに、
それが次回の具体的な行動変更として保存されない状態。

つまり、

反省は実装済み。
再発防止だけ未実装。

何度も同じ事故が発生するため、周囲から見ると非常に厄介である。

本人側には毎回ちゃんと「つらかった記憶」が残るので、
「こんなに反省しているのに、なぜまた怒られるのか」
となりやすい。

一方、周囲から見えるのは、
「また同じことをした」
である。

双方のログが、まるで一致しない。

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