No.033 母なる大樹

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概要

《母なる大樹》は、
静寂の森のさらに奥深くに根を張る、モラリア最古の大樹。
その樹齢を知る者はいない。

王都が築かれるより前から、
外面神殿が建てられるより前から、
この木はただ静かに立ち続けている。

枝葉は大きく空を覆い、
その木陰では、旅人も、精霊も、小さな動物たちも安心して眠ることができる。

ここには試練も、修行も、説教もない。

ただ、
「疲れたなら休みなさい。」
という空気だけが流れている。

よく聞こえる声

風の音。
葉擦れの音。
精霊の寝息。
お茶を淹れる湯気の音。
誰かが洗濯物を干している音。

そして、ときどき。
「おかえり。」
その一言だけが聞こえる。

観察結果

《母なる大樹》では、不思議なことに旅人は肩書きを失う。

夫。
妻。
母。
父。
上司。
部下。
娘。
息子。

ここでは誰も、その役割では呼ばれない。

すべての者が、
「旅人」として迎えられる。

誰も何かを証明する必要はない。
頑張る必要もない。
ここでは「何もしないこと」が責められない。

だからこそ、多くの旅人は初めて安心して眠ることができる。

母なる大樹の掟

無理に笑わなくてよい。
無理に元気にならなくてよい。
眠りたければ眠ってよい。
泣きたければ泣いてよい。
話したくなければ話さなくてよい。
旅立ちたくなるまで、ここにいてよい。

主な効果

HP・MPの自然回復。

《自己否定》の継続ダメージ停止。

《罪悪感》の効果半減。

《解呪の灯火》の火力安定。

《一笑解呪》の発動補助。

安心感の回復。

睡眠品質の向上。

森の住人

精霊たちは木の根元で遊んだり、眠ったり、木の実を集めたりしている。
旅人はその姿を眺めながら、安心して目を閉じることができる。
小鳥は枝でさえずり、
リスは木の実を運んでいる。

誰も注意しない。
誰も評価しない。
誰も急かさない。

庭師も、ときどき木陰へやって来る。
旅人へ何かを教えることはない。
ただ大樹の根元へ静かに水を撒き、落ち葉を掃いて、また森へ戻っていく。

精霊たちは自由に遊んでいる。

危ない場所へ近づけば、大人たちは静かに手を差し伸べる。
誰も怒鳴らない。
誰も支配しない。

それでも精霊たちは、安全に育っていく。

攻略メモ

《母なる大樹》には攻略法が存在しない。
頑張るほど回復する場所ではないからである。

旅人の中には、
「休んでいるだけで申し訳ない。」
と落ち着かなくなる者もいる。

そのときは、何もしなくてよい。
大樹は何も要求しない。

旅人たちは後にこう語る。
「ここへ来て初めて、『休んでも怒られない』という感覚を知った。」

関連項目

地図メモ

《母なる大樹》は、《静寂の森》の最深部にある。
地図には載っているが、
不思議と急いで向かおうとすると道を見失う。

疲れ切った旅人ほど、自然とたどり着くと言われている。

大樹の幹には、昔の旅人が小さく刻んだ落書きが残されている。
「ここでは、誰もあなたを役割で呼ばない。」

その少し下には、さらに古い文字があった。

「帰る場所とは、何かを頑張る場所ではない。」
「安心して眠れる場所のことだ。」

古い旅人の記録

ある古い手記には、こんな一節が残されている。

「王都では『ちゃんとしなさい』と言われた。

外面神殿では『良い人でいなさい』と言われた。

支配の塔では『もっと我慢しなさい』と言われた。

でも、この大樹だけは何も言わなかった。

だから私は、初めて自分の心の声を聞くことができた。」

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