No.034 忘却の渓谷

分類:エリア

概要

《忘却の渓谷》は、
モラリア王国の最も深い谷に広がる静かな土地。

ここへ辿り着く旅人は、
長い年月をかけて自分の違和感や感情、
本当の願いを押し殺し続けてきた者たちである。

谷には争いも怒号もない。
誰かが旅人を縛っているわけでもない。
それでも多くの旅人は、この場所から動こうとはしない。

ここでは、

《違和感センサー》
《境界コンパス》
《解呪の灯火》

は失われない。

ただ、その存在を少しずつ忘れていく。

よく聞こえる声

「私さえ我慢すれば。」
「今さら遅いよ。」
「昔からこうだったし。」
「でも、本当は優しい人だから。」
「子どものためだから。」
「みんな頑張ってる。」
「私にも悪いところがある。」
「これが普通なんだと思う。」

観察結果

《忘却の渓谷》では、旅人の感情は少しずつ静かになっていく。

怒り。

悲しみ。

悔しさ。

違和感。

それらは消えたのではない。
深く封印されただけである。
旅人は穏やかに笑い、静かに生活している。

しかし、その笑顔の奥で、
「私はどうしたかったのか。」
という問いだけは思い出せなくなっている。

渓谷の呪い

この渓谷の呪いは、

「忘却」

である。

旅人は、
違和感を忘れ、
怒りを忘れ、
悲しみを忘れ、

そして最後には、
出口を探そうと思っていた自分まで忘れてしまう。

不思議な出口

《忘却の渓谷》には数え切れないほどの出口が存在する。

しかし旅人には、
それらが出口には見えない。

ある者には、
崩れ落ちそうな吊り橋。

ある者には、
棘だらけの獣道。

ある者には、
底の見えない洞窟。

ある者には、
戻れない断崖絶壁。

出口そのものは変わらない。
変わるのは、
旅人の見え方だけである。

《違和感センサー》や《境界コンパス》の感度が少し戻ると、

恐ろしく見えていた景色は、

ただの橋、
ただの山道、
ただの出口だったことに気付く旅人もいる。

主な効果

《違和感センサー》の感度低下。

《境界コンパス》の方位ずれ。

《解呪の灯火》の減光。

《常識信仰の霧》の持続。

《自己否定》の固定化。

感情の封印。

攻略メモ

《忘却の渓谷》には門番がいない。
牢屋もない。
鎖もない。
出口も存在する。

それでも旅人は、自らそこへ向かおうとしない。

旅人たちは互いにこう言い合う。

「あっちは危ないよ。」
「やめておいた方がいい。」
「ここにいる方が安全だから。」

その言葉に悪意はない。
誰も旅人を閉じ込めようとはしていない。
ただ、自分がそう信じている景色を、そのまま語っているだけなのである。

関連項目

地図メモ

《忘却の渓谷》は、
《支配の塔》のさらに奥、濃い霧に覆われた谷間にある。

旅人の多くは、自分がこの渓谷へ辿り着いたことに気付かない。

谷には無数の出口があり、
その先には《囁きの泉》や《感情の荒野》へ続く道も存在している。

しかし旅人の目には、それらは危険な場所にしか映らない。

谷の岩壁には、小さな落書きが残されている。
「出口は、最初からここにあった。」

少し離れた場所には、さらに古い文字が刻まれていた。
「見えなくなったのではない。」
「出口だと信じられなくなっただけだ。」

🗒️旅人の手記

古い旅人の日記には、こんな一節が残されている。

「私はずっと、この谷から出られないのだと思っていた。」

「ある日、《違和感センサー》が一度だけ小さく反応した。」

「恐ろしく見えていた吊り橋は、ただ向こう岸へ渡るための橋だった。」

「橋は何も変わっていなかった。」

「変わっていたのは、私の見え方だった。」

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