分類:回復魔法
概要
「癒やしてくれる彼女がいい」
一見すると、ごく普通の恋愛願望である。
疲れている時に優しくしてほしい。
落ち込んでいる時には励ましてほしい。
頑張った時には褒めてもらいたい。
人間同士であれば自然に起こる相互作用であり、それ自体に問題はない。
しかし《専属ヒーラー化》が発動すると、
自分=疲れる側
恋人=癒やす側
という役割が固定される。
本来は互いに行われるはずだった回復行為が、
いつの間にか一方向のサービスへと変化していく。
よく見られるセリフ
「家では癒やされたい」
「もっと優しくしてほしい」
「俺のこと褒めてくれないよね」
「彼女にはいつも笑顔でいてほしい」
「仕事で疲れてるんだから、そのくらい分かってよ」
「前はもっと優しかったのに」
「俺を立ててくれる女性がいい」
「男は外で戦ってるんだから、家では休ませてほしい」
観察結果
初期段階では、通常の愛情表現との判別が難しい。
恋人を励ます。
愚痴を聞く。
褒める。
疲れていれば労う。
これらは一般的な関係でも普通に見られる。
違いが現れるのは、それが期待される役割になった時である。
好意で行われていた行動が、
「してくれること」
から
「して当然のこと」
へと変化する。
さらに進行すると、
回復行為をしても評価されなくなり、
しなかった時だけ
「冷たい」
「最近変わった」
「俺のこと好きじゃないの?」
と減点される場合がある。
ヒーラー側にもHPが存在することは、しばしば忘れられる。
得意なこと
使用者の自尊心を回復する。
仕事や人間関係で受けたストレスを家庭内で処理する。
愚痴や不満をパートナーへ転送する。
賞賛や肯定を受け取ることで機嫌を回復する。
自分で感情を整理する工程を省略できる。
長期間使用すると、パートナーからの回復行為を生活インフラとして認識することもある。
苦手なこと
パートナー自身が疲れている状況。
相手から慰めや支援を求められること。
「今日は私もしんどい」と言われること。
相手が一人の時間を必要としている状況。
自分の機嫌やストレスを自分で処理すること。
相手から「私は、あなたを癒やすために存在しているわけではありません」と役割そのものを拒否されること。
発動条件
恋人・配偶者を「安心できる相手」ではなく、
自分を安心させる役割を持つ相手として認識すると発動しやすい。
特に、
「女性は優しいもの」
「彼女なら癒やしてくれるもの」
「妻は夫を立てるもの」
といった役割期待と組み合わさると、効果が強化される。
また、一度パートナーがおだてる・褒める・慰めることで関係を円滑にすると、
それを標準サービスとして学習する場合がある。
攻略メモ
疲れている相手を支えることと、
相手の情緒管理を引き受けることは別である。
通常の関係では、
今日は片方が支える。
別の日には逆になる。
という相互回復が成立する。
一方、《専属ヒーラー化》では「誰が回復する側か」が固定される。
攻略の基本は、相手の感情をすべて自分の担当業務にしないこと。
機嫌、自尊心、仕事のストレス、退屈、不安。
それらを最終的に管理する責任は本人にある。
恋人は回復アイテムではない。
関連項目
地図メモ
王都・宿屋街周辺で目撃例が多い。
本来、旅人が互いに休息するための宿屋で発生した支援魔法とされる。
しかし一部の使用者が、
同行者を「持ち運べる宿屋」として扱い始めたことで現在の形になったという。
パートナーは回復アイテムではない。
あなたを癒やすために存在しているわけでもない。
旅人が世界に託したひとしずくの力が、小瓶となりモラリアの地に届く。
量は問われない。小瓶はそっと物語の糧となり、時折、住人へ不思議な変化をもたらす。

