初音ミク現象の全方位化
AIの出現で「表現者のハードル」がぶっ壊れた。
米津玄師じゃなくても、初音ミクがいたら無双できる世界がやってきた。
(できるとは言ってない)
かつて「作品を作る側」になるには才能や学習コストが必要だったけど、
いまはAIを使えるだけで土俵に乗れる。
音楽じゃなくても同じ構造が起きている。
その象徴として、美容室でこんな話を聞いた。
この絵本ね、お店に置いてるやつ。
お客さんがAIの使い方のセミナー受けて、自分で作ったんですって。
才能・環境・経験を持っていなくても、
「AIを使える」という一点突破で作品が出来上がる時代。
しかも、それが普通の町の美容室まで流通してる。
その一方で、情報の「混濁」が始まっている
わたしはその絵本のクオリティも作者も知らない。
だけど、ネットの世界で実際に起こっている「ある現象」は知っている。
それは、
AI製のニセ画像・ニセ情報が「本物の顔」をしてネットを埋めていくこと。
とある生き物を調べようとしても、
検索上位にはAIが作った「本物っぽい偽物」が上位に出るらしい。
実害は今のところ少ない。
ただの珍生物の正体がわからなくても生活は回る。
でも、これが「商品レビュー」「医療情報」で起きたら終わる。
- 化粧品の口コミを調べても偽レビュー
- 薬やサプリの効き目を調べても加工レビュー
- 体調不良を調べたらデマ情報
- 医療情報は、一度誤情報が混ざると「死にかかわる嘘」が平然と出回る。
- まとめサイトはコピペの劣化コピー
素人では比較できないジャンルほど、「情報の海」になる。
それでもAIは言うだろう。
「あなたの代わりに情報集めてきたよ!」
……いや、集めてこないでほしい。
思考層の話
社会にはざっくり3種類の「思考層」がいると思っている。
- 考えるのが好きな層
→読んで字の如く。 - 考えるのが面倒で丸投げしたい層
→人生省エネしたい一般多数の人。 - 考えてるつもりで誤判断が多い層
→自分の違和感ではなく「情報の音量」で判断してしまう人。
このうち②③は、
情報がAI由来でもよく分からなくても、
たぶんAI様の言うとおりになる。
◆じゃあ、子どもに必要な要素って何?
この未来で必要なのは「自力で考えるための土台」。
特に、
- 自他境界
⇒自分の課題と他人の課題に正しく線引きできる能力 - 自己効用感
⇒自分ってまあまあやればできるじゃん。という根拠のない自信
この2つがあると、外側の情報に飲まれにくい。
結論
AI時代は「情報を持ってる人」が強いのではなく、
「自分で判断できる脳」を持ってる人が最強になる。
子どもに残せる最大の資産は、
知識じゃなくて“世界をどう読むか”という思考そのものだと思っている。
旅人が世界に託したひとしずくの力が、小瓶となりモラリアの地に届く。
量は問われない。小瓶はそっと物語の糧となり、時折、住人へ不思議な変化をもたらす。

