静かな暮らし
実家での生活は、
拍子抜けするほど穏やかだった。
子どもたちはのびのびしていた。
特に長男。
食事中の顔が全然違う。
おかわりもするし、
食べるのが遅くても咎められない。
それだけで、
こんなにも表情が明るくなるのかと驚いた。
私自身もそうだった。
朝起きると
また今日も嫌味を言われないといいな
と身構える必要がなかった。
それだけで、心がすうっと軽くなった。
過去を振り返る
離れてみて、改めてわかった。
当たり前だと思っていた暮らしが、
実はすごく歪んでいたということ
- 買い物の内容に文句をつけられる
- 子どもが泣くと「うるさい」と言い舌打ち
- 私が夜にスマホを見ていると不機嫌に。
「まだ寝ないの?」と言ってくる
いつの間にか、
全ての行動を監視され、
裁かれているような生活だった。
でも、当時の私は
「みんなこんなもん」
と思い込もうとしていた。
周りに弱音を吐けなかったのもある。
「育児が大変だから」
「夫婦なんてそんなもんだから」
自分を納得させるための言い訳は
いくらでも見つけられた。
周囲との対話
実家の母は特別口出しをしてこなかったけれど、
「あなた、目の下にクマがなくなったね」と言った。
それがすごく印象に残っている。
育児がしんどくて、というより、
夫といることが心身を削っていた。
よく行く児童館の先生や近所の人も、
「なんか楽しそうですね」
と声をかけてくれた。
他人のほうが、
意外と冷静に変化を見てくれていたのかもしれない。
今、思うこと
逃げたと言われたら、
それまでだと思う。
でも、
逃げないと壊れてしまう場面は、
確かにある。
逃げた先で気づいたのは、
私はまだ、やり直せる
ということだった。
子どもたちのためでもあるけれど、何より、
私自身の人生を取り戻すために離れた
と今なら言える。