【第10話】母子家庭と名乗ることへのためらい

名前の重さ

離婚届を提出してしばらく後、
役所から届いた書類に、

はっきりと書かれていた母子家庭の文字

書面にそう明記された瞬間、

自分が何かの枠に収められたような気がした。

言葉の重さに、少しだけ息が詰まった。

イメージと実態

私は特別変わった母ではないと思っていた。

朝ごはんを作り、
保育園に送り、
仕事をして、
買い物して、
寝かしつけのあと、洗濯物を干す。

日々はただの母親として流れていた。

けれど、母子家庭と名乗った途端に、

世の中の目が微妙に変わるような気がした。

たぶん私自身が一番、それを気にしていた。

肩書より中身

でも、思い出した。
離婚前、子どもが私に言った言葉。

長男
長男

ママ、いつも一緒でうれしい

家族のかたちは変わった。

けれど、
子どもにとって私は
お母さんであることに変わりない。

母子家庭は、ラベルじゃなくて、ただの現実

背負うものではなく、歩く土台。


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【第11話】”かわいそう”の目線がいちばんつらい

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