【第59話】小さな手に支えられて

泣けなかった私が、泣けた日

ずっと、強がってきた。
夫に負けたくなくて、泣くのが悔しくて。

でも、別居してからというもの、何かが緩んだ。

ある日、仕事が終わって、疲れ果てた帰り道。

玄関を開けたら、子どもたちが
「おかえりー!」と駆け寄ってきた。

「ママ、今日はね!」と笑う顔。

その瞬間、安心感があふれて、
堪えていた涙がぽろぽろと落ちた。

泣ける場所ができたこと

泣いていると、子どもが小さな手で顔をふいてくれた。

長男
長男

ママ、どこかいたいの?

って、心配そうにのぞき込む瞳。

泣いちゃいけない、
強くなきゃいけないと思っていたけど、
子どもたちの優しさが、心の奥までしみこんでいく。

こんなにがんばってるママを、
子どもたちはちゃんと見てくれているんだ。

思えば、あの家では泣けなかった。

怪我をしても、心配するどころか

元夫
元夫

何やってんの?大人の世話まで無理なんだけど

泣いたって鬱陶しがられるだけの家。

心にふたをして、自分を守っていたと思う。

ママは負けない

わたし
わたし

ありがとう

と抱きしめながら、

わたし
わたし

ママ、負けないよ

と小さく誓った。

泣ける場所がある。

泣いても、受け止めてくれる人がいる。

それが、こんなに救われることだとは知らなかった。

泣きたいときには泣こう。

だって、私には、私を見ていてくれる子どもたちがいる。


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